シグマ20mm F1.4 DG HSM Art は開放から高解像力のレンズ

LensTip に、シグマの一眼レフ用の超広角単焦点レンズ「20mm F1.4 DG HSM Art」のレビューが掲載されています。

Sigma A 20 mm f/1.4 DG HSM

  • フォーカスリングは十分な重さがありスムーズに回転する。最短から無限遠までの回転角が100度しかないのは残念で、正確にピント合わせするためには、120-150度必要だろう。
  • 20mm F1.4 は設計が極めて難しい仕様のレンズだが、解像力は中央は開放で40lpmm(良像の基準値は30-32lpmm付近)、F2に絞ると45lpmmを超える値で、言葉が見つからないくらい素晴らしい。フルサイズ用のF1.4のレンズで(中央の解像力で)、このレンズと同等の性能を持つのは、Otus 55mm F1.4とOtus 85mm F1.4 だけだ。シグマはF2.8とF4では46-47lpmmで、これは実にセンセーショナルな結果だ。
  • フルサイズの隅の解像力は、開放では28.5lpmmで、良像の基準レベルをわずかに下回るが、これは基準に非常に近い値で、F1.8-2.0に絞ると完全に許容範囲内になる。ライバルのニコン20mm f/1.8G は、同じ解像力を得るのためには、F4まで絞らなければならない。これは全く恥じることのない結果で、批判には当たらない。
  • 軸上色収差は、完璧には補正されてはおらず、開放では若干の色付き(後ボケが黄色に前ボケが青になる)が見られ、F2に絞っても見られる。
  • 倍率色収差は0.04-0.06%で、軸上色収差よりもずっと良好に補正されている。これはほとんど気付かない程度の値だ。
  • フォーカスシフト(絞りによるピント位置の移動)は全く見られなかった。
  • 歪曲はフルサイズで-2.15%のタル型で、ニコン20mm f/1.8Gの-1.53%よりも悪いが、その差は大きくはない。歪曲は、旧型のシグマ20mm F1.8 EX DG と比べると顕著な改善が見られる。
  • コマ収差はあまり良好ではなく、フルサイズではF1.4とF2では非常に目立ち、APS-Cでも若干目に付く。コマ収差はニコンの20mm f/1.8Gも同程度の性能だ。非点収差はそれほど大きくはなく、中程度だ。
  • 周辺光量落ちは、フルサイズの開放で3.02EVの高いレベルで、F2に絞ると-1.61EVで大きく改善するが、それでもまだ目立つ。周辺光量落ちが穏やかになるのはF2.8からで(F2.8で-0.70EV)、F4以上では周辺光量落ちの問題は解消する。
  • 逆光では多くのゴーストやフレアが見られるが、太陽を画面の外に出せば目立たなくなる。コントラストはきちんと保たれてはいるが、もう少し良好な性能を期待していたと批判されるだろう。
  • AFは最短から無限遠まで0.4-0.5秒で、AF速度は24mm F1.4 Art(最短から無限遠まで1秒以上)と比べると顕著に速くなっている。AF精度は、顕著な合焦ミスは5D3では100枚に1-2枚で大きな問題は無かったが、テストチャートの撮影でほぼ全てのショットでピント位置に若干の違いが見られた。EOS 50Dではこれよりも更に悪い結果だった。
  • シグマArtシリーズの単焦点は、いつでも機械的にしっかりとしており、際立った性能で、加えて価格も理に適ったもので、正直テストは少々退屈になったが、今回テストしたモデルに関して言えば、シグマはもう一歩進んで、他社の製品には無い独創的なスペックのレンズを出してきた。
  • 良い点: 独自のスペック、しっかりしたスタイリッシュな鏡筒、中央の卓越した画質、APS-C隅の素晴らしい解像力、フルサイズ隅のまずまずの画質、倍率色収差がわずか、球面収差がよく補正されている、歪曲に大きな問題がない、静かで高速なAF、素晴らしいコストパフォーマンス。
  • 悪い点: コマ収差が顕著、フルサイズの周辺光量落ちが非常に大きい、逆光耐性が今一つ。

 

シグマの20mm F1.4 は大口径の超広角レンズにもかかわらず、開放付近から画面全域で実用になる画質を実現しているのは素晴らしいですね。倍率色収差もよく抑えられているようですが、コマ収差が目立つのがウィークポイントのようです。

また、逆光耐性はサンプルを見る限りではそれほどよくはありませんが、前玉が突出しているタイプのレンズなので、これは仕方がないところかもしれません。