ニコン「Z 28-75mm f/2.8」は中央は見事な解像力だが隅の解像力は今ひとつ

DigitalCameraWorldに、ニコンの新しいF2.8通しの標準ズーム「Z 28-75mm F/2.8」のレビューが掲載されています。

Nikon Nikkor Z 28-75mm f/2.8 review

  • このレンズは「Z 24-70mm f/2.8 S」よりも長いが価格は約半分で、魅力的な提案だ。このレンズは軽量でバランスに優れている。鏡筒は安っぽさやプラスチッキーさは感じないが、Sレンズではないので堅牢性ではZ24-70mm f/2.8には明らかに劣っている。しかし、それは決して欠点というわけではない。
  • 手ブレ補正は搭載されていないが、Z6II / Z7II / Z9などのIBIS搭載機との組み合わせなら、望遠端でも十分な補正効果が得られる。
  • ズームリングは素早く正確にフレーミングが可能で、長時間ぶら下げたままでも自重落下は全くみられなかった。
  • フォーカスブリージングは最小限で、滑らかでほとんど作動音のしないAFと相まって、このレンズは動画撮影用として完璧な万能レンズだ。

  • 実写では、光学性能はとても優れており、特に中央の解像力はズーム全域で開放を含めどの絞り値でも申し分のないものだ。とは言え、隅の解像力はF8程度まで絞らないと特筆するような値にはならない。
  • AFは、バスケットボールの選手のように不規則に動く被写体でもZ9に付いていくことができるほどだ。また、日常の被写体にも問題なく対応できる。暗い状況でもAFに問題は見られなかった。非Sでもフラッグシップ機のZ9に付いていくことができるこのレンズを高く評価している。
  • ラボテスト(解像力):中央の解像力は非Sレンズであること考えると、ズーム全域でF16までの全ての絞り値で見事だ。隅の解像力はそれほど高くはなく、開放ではやや期待はずれだ。

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  • ラボテスト(色収差):色収差はズーム全域でどの絞り値でも無視して良いレベルで、28mmで絞り込むとかろうじて見える程度だ。
  • ラボテスト(歪曲):ZシステムのカメラはJPEGでもRAWでも歪曲が自動補正されるが、Z28-75mm f/2.8の歪曲補正に対応していないファームウェアの入ったZ9でテストしたところ、このレンズの素の状態の歪曲を確認できた。歪曲は28mmではタル型が目立ち、50mm以上では穏やかな糸巻き型になる。

  • Z 28-75mm f/2.8は間違いなく素晴らしいレンズだ。隅の解像力では大三元のSレンズ(Z 24-70mm f/2.8S)が若干優れているが、それ以外の光学性能は同等だ。したがって、ズーム域が問題なければ、躊躇することなく半額のZ 28-75mm f/2.8を勧める。
  • 良い点:見事な中央の解像力、防塵防滴、速く静かなAF、フォーカスブリージングが極めて少ない。
  • 悪い点:風変わりなズーム域、手ブレ補正非搭載。

 

このレンズはePHOTOzineのレビューでは、ベースとなったタムロンのレンズ(このレンズはレンズ構成図からタムロン28-75mm F2.8 Di III RXD(I型)のOEMと言われています)よりも遥かに高い解像力を示していましたが、DigitalCameraWorldのテストではそれと比べると周辺部は解像力は今ひとつという印象です。とは言え、価格を考えれば十分以上の性能で、実写では全く問題はなさそうです。