ニコン「Z 28-75mm f/2.8」は欠点の少ない満足の行く性能

PCmagに、ニコンの標準ズーム「Z 28-75mm f/2.8」のレビューが掲載されています。

Nikon Nikkor Z 28-75mm F2.8 Review

  • 鏡筒の操作部は少なく、これは少々残念だ。ズームリングはゴムで覆われているが、フォーカスリングはテクスチャの付いたプラスチックだ。
  • フォーカスリングは指先で回すことができる。このフォーカスリングはコントロールリングとしても使えるが、動きが敏感でフィールドで確実に操作するには気難しすぎると思う。これはカメラによっても異なり、Z9ではコントロールリングの応答速度を低速と高速に切り替えられ、意図せずに動かないようにするためには低速の設定が理想的だ。
  • ステッピングモーターによるAFは反応が速く、スチルでは無限遠から最短まで約0.6秒だ。動画ではもう少し滑らかな動きで、フォーカスブリージングが抑えられているのは有り難い。フォーカシングによる画角の変化はワイド端ではほとんど見られず、望遠端でわずかに見られる程度だ。フォーカスリングはリニアではないので、動画で同じ位置に確実なピント合わせを繰りかえすことはできない。
  • このレンズは広角端では7.6インチまで寄れ1:2.9の十分な倍率だが、望遠端では15.4インチとあまり寄れない。

  • ラボテストはZ9との組み合わせでImatestで行ったが、このレンズはズーム全域で開放から非常に優れた性能で、3700ライン前後の解像力を示した。開放付近の隅の甘さは、浅い深度で目立たないことが多いだろう。絞ると隅までシャープになり、F8ではコントラストが高く隅までシャープになる。F22まで絞ると美しい光芒が得られる。
  • 歪曲は広角側でタル型、望遠側で糸巻き型が見られるが、JPEGでは自動的に補正される。またLightroomにはこのレンズのプロファイルがあり、歪曲と周辺光量落ちが補正される。
  • このレンズの光学系はImaging Resourceの報告によるとタムロン28-75mm F/2.8 Di III RXD(G2ではなく旧型)と完全に一致している。私の経験でも、このレンズはハイライト周りの特徴的な描写がタムロンの初代28-75mmと一致している。これはこのレンズを批判しているのではなく、Zシステムはサードパーティー製レンズがないために、Eマウントでは安価に入手できる古いバージョンのレンズに高い金額を払う以外に選択肢がないことを指摘している。

  • 光学設計をどこのメーカーが行っているかにかかわらず、このレンズは他のF2.8のレンズと較べて満足の行く性能だ。Z24-70mm f/2.8Sは我々のお気に入りの標準ズームだが、このレンズは高価で、Z5やZ6IIから入門する人には予算がとれない場合もあるだろう。Z28-75mm f/2.8は1200ドルで多くの人の選択肢になる。最大の妥協点はワイド側の画角だが、画質に関しては悪い部分はあまり無い。AFは電光石火ではないが日々の撮影には十分で、推奨できるレンズだ。
  • 良い点:鮮明なF2.8.の光学系、静かでフリージングの少ないAF、防塵防滴とフッ素コーティング、持ち運びやすいデザイン、1:2.9の近接性能。
  • 悪い点:24mmの画角を省いている、コントロールリングが少々細い、ファンクションボタンやフォーカス切り替えスイッチが無い。

 

このレンズは開放から極めてシャープという評価のレビューもありますが、ここのレビューでは開放では隅に甘さがあるという評価で、ベースとなったレンズと同じような傾向のようですね。とは言え、このクラスのレンズとして十分満足のいく性能のようです。

また、ベースのタムロン28-75mm F/2.8と比べると価格の高さが指摘されていますが、ニコン純正として発売されていることで、デザインの統一感やAFの安心感などの面で有利な点も結構ありますね。