ソニー「E 11mm F1.8」はトップクラスの解像力

LensTipにソニーのAPS-Cの超広角単焦点レンズ「E 11mm F1.8」のレビューが掲載されています。

Sony E 11 mm f/1.8

  • 11mm F1.8のサイズは注目に値するもので、特にツァイスTouitと比べた場合はそうだ。E 11mm F1.8は明るくより焦点距離が短いにもかかわらず、Touitよりもあらゆる点でより手軽に使える。
  • フォーカスリングは電子式だ。最短から無限遠までの回転角は130度と満足のいく大きさで、正確なピント合わせが可能だ。

  • 中央の解像力は開放で既に76lpmm(良像の基準値は39-41lpmm)の非常に高いレベルに達しており、これは素晴らしい結果だ。絞ると解像力は更に向上し、F2.8とF4では80lpmmを超える。F2.8の時の解像力は82.1lpmmで、E 11mm F1.8は最高記録保持レンズの仲間入りを果たしている。
  • 周辺部の解像力は非常に興味深いものだったので、APS-Cの周辺部(edge1)の他にフルサイズの周辺部の解像力(edge2)も測定した。APS-Cの周辺部はF2とF4では70lpmmという非常に良好な結果だ。F2.8の落ち込みは倍率色収差や非点収差などの収差のためだ。フルサイズの隅の性能は開放で60lpmmを超える非常に高い値に達しており、このレンズのような小型軽量なレンズに、これ以上の性能を期待するのは馬鹿げたことだろう。

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  • 軸上色収差は以前にE 15mm F1.4 Gで少し不満を述べたが、面白いことにGレンズではないE 11mm F1.8の方が、軸上色収差ではE 15mm F1.4 Gよりもずっと良好な結果だ。開放でも収差は目立たず、ここでは拍手喝采だ。
  • 倍率色収差は0.06~0.08%の範囲で、「低い」と言える値だ。倍率色収差はF2.8で最大になるが、それでも煩わしいようなレベルではない。
  • 球面収差の補正は完璧ではなく、玉ボケは前後で異なっているが、フォーカスシフトは見られない。

  • 歪曲は自動補正がオートのままで固定され解除できない。これは歪曲の光学補正を諦め、電子補正に依存していることを示唆している。測定結果もそれを示しており、JPEGでは-0.75%だが、未補正のRAWでは-9.60%の極めて大きな値だ。
  • 歪曲補正で画像はトリミングされるが、補正で切り取られた後の画像の大きさは2100万画素しかなく、全体の12%にあたる300万画素が失われている。JPEGではこの画像が再び2400万画素に引き伸ばされる。
  • 画角は歪曲補正後のJPEGで105.9度で、11mmの画角の104.4度よりも更に余裕がある。未補正のRAWでは画角は112.5度あり、これはAPS-Cの9~10mmのレンズの画角に相当する。

  • コマ収差の補正は完璧ではなく、隅ではダイオードの点像が顕著に大きくなり、高次の収差による翼状の像になる。1段絞るとかなり改善するが、若干のデフォルメは残る。コマ収差は完璧とは言い難いが、大きな問題があるとも言えず中程度のレベルで、この価格のレンズでは普通だ。
  • 非点収差は平均5.8%で、画質への影響は軽微だ。しかし、非点収差が大きくなるのは開放ではなくF2.8であることは特筆に値する。これでこのレンズの解像力がF2.8で落ち込む謎が解けた。
  • 玉ボケは広角レンズとしては実に良好で、玉ボケ内部は均一で年輪ボケも控えめに見える程度だ。口径食も大きな問題は見られない。
  • 周辺光量落ちはJPEGでは開放で57%(-2.46EV)で、RAWでは62%(-2.79EV)でかなり大きいがレンズの画角を考えると大きな不満はない。RAWではF2.8で46%(-1.76EV)、F4で43%(-1.63EV)、F5.6で40%(-1.46EV)となり、絞ればまだ改善する。

  • 逆光耐性を高めるのは大口径の超広角レンズでは容易ではないが、このレンズは素晴らしい結果を出しており、開放付近ではフレアやゴーストはほとんど見られない。絞り込むとフレアやゴーストが増えるが、ゴーストの数は多くなく輝度も低い。拍手喝采だ。
  • AFはZV-E10との組み合わせでは最短から無限遠まで0.2~0.3秒と非常に速く、作動音はしない。合焦点付近でフォーカスが行き来する現象も見られなかった。AF精度はZV-E10でもα7R IIIでも素晴らしく、スタジオでも屋外でも全く問題ない。

  • 以前のテストでFE20mm F1.8 Gの性能を絶賛したが、またソニーの超広角レンズで同じような記事を書くことになるとは思わなかった。E 11mm F1.8は小型軽量で、中央は極めてシャープで、画面の隅でも開放から満足できるシャープを持つ大口径広角レンズだ。価格は600ユーロで、決して高くはない。このレンズで、多くのユーザーがハッピーになると信じている。
  • 良い点:スペックに対して適切な大きさ重さ、開放からの中央の素晴らしい画質、画面隅の良好な画質、軸上色収差がほとんどゼロ、倍率色収差がわずか、穏やかな非点収差、妥当なボケ、優れた逆光耐性、速く静かで正確なAF、良好なコストパフォーマンス。
  • 悪い点:周辺光量落ちがとても大きい、RAWの歪曲が極めて大きい。

 

PCmagのレビューでは、E 11mm F1.8は「完璧ではないが決して失敗作というわけではない」という微妙な評価でしたが、LensTipでは絶賛と言ってもいい高い評価ですね。PCmagで問題点として指摘されていた逆光耐性もここでは「拍手喝采」と、正反対の評価となっています。

また、このレンズはフルサイズの隅でも開放からとても優れた解像力なので、隅がケラられていなければ、フルサイズでも使えそうですね。LensTipのレビュー通りの実力なら、コストパフォーマンスは抜群で人気のレンズになりそうです。