富士フイルム「X-H2S」はこれまでで最も高性能なAPS-C機

AmateurPhotographerに、富士フイルムXシリーズの新しいフラッグシップ機「X-H2S」のレビューが掲載されています。

Fujifilm X-H2S review

  • 電子シャッターのスキャン速度はスチルでは1/150秒、動画では1/180秒で、ローリングシャッター歪みは最小限に抑えられている。
  • 操作系はハイエンドの一眼レフカメラユーザーにアピールすることを目的としているため、キヤノンとニコンのユーザーが親しみやすいように設計されている。しかし、X-T4の魅力的な専用ダイヤルに比べると、正直なところ少々物足りなさを感じる。
  • グリップは、実際にはX-T4よりもそれほど大きいわけではないが、深いので、大型の望遠レンズでより確実なホールディングが可能だ。ボディはマグネシウム合金製で頑丈だ。
  • EVFは画面の隅まで明るくクリアで、これまで使った中で最高のものの一つだ。
  • モニタはバリアングルで素晴らしい出来だが、個人的にはより素早く使え、レンズの光軸と一致するX-H1の3方向チルトがスチル用には好みだ。しかし、X-H2Sのモニタは、自撮り用にモニタを前に向けられるのが大きなメリットだ。

  • 被写体認識AFは、車や鳥、動物が画面内で遠く小さい場合でも確実に認識し正確に追いかけるが、完璧ではなく、コントラストの低い被写体、特に近距離の被写体で背景が細々としている場合(木にとまっている鳥など)では、ピントが背景に抜ける傾向がある。
  • AFはデフォルトの設定では、被写体が障害物の陰に隠れたときに混乱しやすいようだが、これはAF-Cのカスタム設定で対処できる。全体的な印象としては、ソニーやキヤノンのAFシステムほど信頼性は高くないものの、それでもなお単純なAFトラッキングよりは良い結果を得られそうだ。

  • 動作は、Xシリーズの他のカメラよりも少し早く軽快だ。電源スイッチをONにするとすぐに起動し、すべての操作に即座に応答する。遅れを感じるのはQメニューのタッチ操作だけで、何度かモニタをタップしても1、2秒反応しないことがあったが、それ以外はプロフェッショナルモデルに相応しい洗練された動きだ。
  • シャッター音は、電子シャッターは無音で、メカシャッターは柔らかい音でとても静かだ。事前に録音されたシャッター音を流すこともでき、これは(電子シャッターの)連写時に役立つ。
  • 測光とオートホワイトバランスはどちらも実に優れており、クリエイティブな画像を造る目的以外での調整は必要はないだろう。

  • ボディ内手ブレ補正は良好に機能し、16-55mm F2.8で0.6秒のシャッター速度で鮮明な画像が得られた。これはα7 IVと同等の効果で、GH6やOM-1などのクラスをリードするm4/3機には少し後れを取っている。
  • 連写は40コマ/秒のRAWでスローダウンまでに140枚で、15コマ/秒だと無制限に撮影できた。ただし、これはCFexpress使用時で、SDではパフォーマンスが低下する。
  • 露出は奇妙なことにデフォルトの設定では連写開始時に固定されるが、設定を変更すれば、コマごとに露出が変わるようにできる。
  • 優れた点としては、電子シャッター使用時でも顕著なローリングシャッター歪みが見られなかったことだ。

  • RAWの画質は期待通りで、古い積層型センサーのようにダイナミックレンジが狭くなることはないく、少なくとも4段分はシャドーを持ち上げられる。
  • X-H2Sの画質は従来の26MPセンサー搭載機とほどんど同じで、ISO800まではクリーンでディテールに富む画質だ。ISO1600ではわずかな輝度ノイズが発生するが、ISO6400までは十分に使えるしISO12800も許容範囲だ。ただし拡張感度のISO25600とISO51200は芳しくないので避けた方がいいだろう。

  • X-H2Sはスポーツや野生動物などの撮影に適した高性能なプロスペックモデルだ。ソニーのα6000シリーズは古くなっており、ニコンとキヤノンのAPS-CはX-H2Sよりも性能が低くレンズラインナップも非常に限られているので、唯一の競争相手はm4/3だが、OM-1もGH6もX-H2Sほどの性能ではない。
  • X-H2Sの本当の魅力は、超望遠レンズが手持ちで使いやすく(同じ換算焦点距離の)フルサイズ用レンズよりも遥かに低価格なことだ。
  • 富士フイルムのユーザーは、X-H2Sと同じセンサーの採用を期待してX-T5を待ちたくなるかもしれないが、ソニーの例では積層型センサーがリーズナブルなモデルに採用されたことはなく、X-T5への採用も確実ではないだろう。
  • X-H2Sは間違いなくこれまでで最も高性能なAPS-C機だ。価格は2499ポンドと高価だが、フルサイズの競合機と比べれば安価で、小さなパッケージで卓越したパフォーマンスが得られるセンセーショナルなカメラだ。
  • 良い点:超高速な連写とレスポンスに優れた操作、JPEGとRAWの双方で優れた画質、効果的な被写体認識AF、頑丈で耐候性のある造り、高いカスタマイズ性、優れたEVFとモニタ。
  • 悪い点:タッチパネルが時折反応しなくなる、APS-C機としては高価。

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富士フイルムX-H2Sは、ここではAPS-C機の中では最高の性能のカメラという高い評価を得ていますが、AFの信頼性に関してはまだソニーやキヤノンに少し遅れを取っているとも述べられていて、これはCameraLabsのレビューと同じ評価ですね。

また、ローリングシャッターのスキャン速度は1/150秒ということで、OM-1(1/125秒程度)よりは少し速いですが、フルサイズの積層センサー搭載機(α1が1/200秒程度)よりは遅いようです。とは言え、APS-Cでは最速ですね。

価格はAPS-C機としては高いですが、フルサイズの積層型センサー搭載機と比べるとずっと安価で、超望遠ズームもそれほど高くないので、積層型センサーを使ってみたいハイアマにはX-H2Sは良い選択肢になるかもしれませんね。