キヤノン「EOS R10」のAF性能はクラストップだがセンサーが古く高感度ノイズが目立つ

PCmagに、キヤノンのAPS-Cミラーレスカメラ「EOS R10」のレビューが掲載されています。

Canon EOS R10 Review

  • EOS R10はRFシステムのエントリーとしての位置付けにもかかわらず、2つのコントロールダイヤルやジョイスティックなどのかなり高度な操作系を備えている。
  • グリップのエルゴノミクスは優れており、RF-S18-45mmからEF400mm F4 DO II +EF-EOS Rまで試したが、小さいレンズも大きいレンズも快適に扱える。
  • グリップとマウントの間にあるAF/MF切り替えスイッチは、グリップを握った状態で薬指で切り替えられて便利だ。
  • R10は、小さなスペースに多くのダイヤルやボタンがあるが、操作系に窮屈さは全く感じない。

  • モニタは優れた明るさ、発色、視野角で屋外の太陽の下で使用するのに適しているが、Qメニューで、画面の明るさの設定にアクセスできるようにして欲しい。
  • EVFはX-T30IIのような、このクラスの他の製品とほぼ同程度の大きさに見える。ペンタミラーのEOS T8i(Kiss X10i)よりも一歩進んではいるが、トップクラスの大きさや鮮明さのEVFではない。

  • 被写体認識AFは枝にとまっている鳥や、リス、犬、鹿などの認識ができた。AF速度も速く素早く被写体にロックする。
  • AF性能に関してはEOS 10はライバルの中で筆頭で、α6400は優れたAFの追従性だが、R10は同様に追従性が高く、連写速度はより速く、より多くの種類の被写体を認識することができる。R10の唯一の欠点は、撮影する被写体に合わせて被写体認識のモードを切り替える必要があることだ。

  • 連写はメカシャッターで15コマ/秒、電子シャッターで23コマ/秒だが、ローリングシャッターのスキャン速度が十分ではないので、動きの速い被写体では、歪みを回避するために電子シャッターを使わない方がよい。
  • バッファはRAW+JPEGでは約1秒(15枚)、可逆圧縮C-RAW+JPEGでは約2秒(30枚)、JPEGまたはHEIFで約4秒(65枚)だ。バッファクリアはわずか2~4秒と素早く回復する。
  • R10のAFはクラスをリードしているが、センサーは最先端のものではなく、X-T30IIの2600万画素BSIセンサーよりもノイズは多い。JPEGやHEIFでクリーンでディテールに富む画像が得られるのはISO3200までだ。ISO6400-12800では画質が少し悪化し、それより上の感度ではディテールが失われ、のっぺりとした画質になる。RAWではISO6400-12800でJPEGより少しディテールが豊富な画像が得られる。

  • 動画はセンサー全幅で4K30p、1.56倍のクロップで4K60pに対応しているが、α6400もX-T30IIも4K60pには対応していないので、R10の動画はこのクラスでは強力だ。しかし、残念ながらC-Logが省略されている。
  • 動画の画質は6Kからダウンサンプリングされている4K24pと30pは優れた画質だが、クロップの60pはディテールはそれほど豊富ではない。
  • Vlog用としては可搬性に優れたサイズは大きなメリットだが、IBISが搭載されていないのがウィークポイントだ。RF-S18-45mmとの組み合わせでは、静的な手持ち動画撮影ではR10はきちんとした仕事をするが、歩きながらの動画撮影では画面が少しカクカクする。頻繁に動画撮影する場合は、ジンバルか三脚、一脚の使用を勧める。
  • 動画で唯一気になるのはヘッドホン端子がないことで、現場での音声の確認はR10の小さなカメラ内のスピーカーに頼る必要がある。

  • R10はRFシステムでは最も手頃な価格のエントリーモデルだが、私にはこのカメラがエントリーモデルであるとは到底思えない。初心者にも操作しやすいが、価格と性能からどちらかと言うとミドルレンジの位置付けだろう。このカメラは気に入っているが、エディターズチョイスにはわずかに届かない。BSIセンサーを採用し、優れた動画ツールキットと充実したAPS-Cレンズのある富士フイルムのミドルエントリー機X-T30IIが引き続き一押しだ。
  • とは言うもののRebel(Kiss)や90Dからの買い替えの場合、EF-EOS Rアダプターと組み合わせれば、R10が最も合理的なカメラなのは間違いなく、野生動物などの動体を撮影したいクリエイターにもお勧めだ。
  • 良い点:際立った被写体認識とAF、15コマ/秒のメカシャッターと23コマ/秒の電子シャッターの連写、しっかりとしたエルゴノミクスと操作レイアウト。
  • 悪い点:IBISが搭載されていない、8-bit SDRの動画はフラットプロファイルに対応していない、ベーシックなCMOSセンサーは裏面照射に及ばない。

 

EOS R10はPetaPixelのレビューではグリップが窮屈と言われていましたが、ここでは「大きいレンズも快適」と述べられていますね。AFに関してはクラストップの性能という申し分のない評価で、連写も速いので、この価格帯で動体用のカメラを探しているなら有力候補になりそうです。

ただ、センサーに関しては改良されているとは言え、ベースがKiss Mと同じ24MPセンサーなので、今現在の水準では高感度性能はやや物足りないようです。