ニコン「Z8」のAFは全体的に素晴らしい出来だが動物の検出や追尾ではライバルに及ばない

DigitalCameraWorldに、以前公開されたニコン「Z8」のハンズオンレビューが加筆され、完全なレビューが掲載されています。

Nikon Z8 review
(※以下、前回のハンズオンから加筆された部分のみ引用しました)

  • Z9から更に進化したディープラーニングAF技術の採用で、AFはZ9と同等どころか、それ以上のレスポンスで被写体を追尾することができる。

    人間や動物の被写体追従に加え、Z9にはなかった航空機専用モードを備え、さまざまな乗り物を追従することができる。

    しかし、AF技術が巧みとはいえ、キヤノンやソニーにはまだまだ敵わない。Z8は人物、車両、無機物などの被写体では同等の性能を発揮するが、動物の検出や追尾ではライバルに若干及ばない。

    キヤノンのEOS R5はどのような動物でも認識し、ソニーα1も負けていない。Z8のAFは全体的に素晴らしい出来だが、カメ、アシカ、キリンなどの動物の目や顔を検出するのに苦戦することがあった。

    最も難しかったの木の葉の間から動物を検出することだった。特にEOS R5は、葉の陰に隠れている動物でも、その一部を見つけてロックするのが得意だが、Z8は下草に隠れている動物にピントを合わせようとした際や、また、動物がいなくなってもロックを維持する動きに、何度もがっかりさせられた。

    しかし、Z8のAFは、プログラムされていない(被写体認識に登録されていない)被写体を追跡する場合以外は、一般的に信頼できるものだ。

    スポーツの撮影では、選手や観客が前方や後方で入り交じるような混雑した場面では、ピントを合わせようとしている特定の選手からフォーカスが外れてしまうことがあるが、Z8はスポーツ撮影の要求に十二分に対応し、スチルでも動画でも被写体をしっかり捉えてくれる。

  • 動画の画質はZ9同様に非常に優れており、オーバーサンプリングされた4K動画は、ソニーやキヤノンのものよりもワンランク上だ。Z8は暖かい季節の直射日光下でさえ、EOS R5のようなオーバーヒートの問題は見られない。

  • ラボテスト(解像力):Z8とEOS R5はセンサーの画素数がほぼ同じなので、解像力は拮抗している。

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  • ラボテスト(ダイナミックレンジ):Z8は低感度のダイナミックレンジは良好で、ISO800まではEOS R5とα7R Vと互角だ。高感度のダイナミックレンジはソニーの2機種が優れているが、Z8はそれより1EV低いだけで、EOS R5より一貫して優れている。

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  • ラボテスト(S/N比):Z8、EOS R5、α7R Vは非常に似たようなノイズレベルだが、低画素のα9 II はここで真価を発揮している。

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  • 結論:Z8はZ9と同等のスペックの実に素晴らしいカメラで、Z8のバッテリー駆動時間では足りない場合や、縦位置グリップが必要な場合を除いて、Z9よりもZ8の方がお勧めだ。AF性能ではEOS R5の方が依然として優れているが、チームスポーツや茂みに隠れる野生動物を撮影しない限りは、Z8のAFは驚くほど正確だ。そして、スペックに負けず劣らず素晴らしいのが4000ドル以下という価格で、余裕のあるハイアマにも手が届くだろう。
  • 良い点:Z9並みの驚きのスペック、多くのダイレクトアクセスができる操作系、Z9よりも1000ドル以上安い。
  • 悪い点:バッテリーライフがそれほど良くない、AFがライバルほど賢くない、(Z9より安価になっても)それでも高額な投資。

 

ハンズオンでは絶賛されていたZ8ですが、使い込んだ後の正式レビューでは、動物関連のAFの欠点が目についたようで、AF性能に関しては「ライバルほど賢くない」という評価になっています。とは言え、特定の条件を除けば極めて優秀なAFのようなので、撮影する被写体によっては全く問題が見られない人も多いかもしれませんね。動物の被写体認識AFに関しては、アップデートでの改善に期待したいところです。

また、画質に関しては、ダイナミックレンジやS/N比がやや低くなることが多い積層型センサーとしては優秀で、申し分のない結果と言ってよさそうです。