ニコン「Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR」はS-Lineのレンズに匹敵する性能

Camera Labsにニコンの超望遠ズーム「Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR」のレビューが掲載されています。

Nikon Z 180-600mm f5.6-6.3 VR review

  • このレンズの重さはわずか2キロ、全長は316mmで、手持ち撮影は非常にしやすい。
  • AF精度は99.2%と非常に優れており、一連のテストで軽微な外れ値が2つあっただけだった。AF速度はZ8との組み合わせで無限遠から6mまで0.5秒で、これはZ9 + Z 600mm f/4 TC VR Sよりも少し速い。
  • ズームリングは回転角は72度と短く、指のかかりは良好だ。ズームの自重落下は見られない。フォーカスリングは滑らかに動き、指一本で操作ができる。
  • AFの作動音は動画撮影時には内蔵マイクでは拾わないが、ズームリングを回すと若干音がする。

  • フォーカスブリージングは、600mmでは無限遠から6mで4%拡大され、180mmでは1%拡大される。これは動画ではほとんど気にならない値で、Z 600mm f/4 TC VR Sの16%よりも遥かに優れている。
  • ズーミングでは250mmよりも短い焦点距離ではピントが移動するので、スチルではズーミング後にピントを合わせ直した方がいい。動画では非常に速くズーミングしなければ、このピントのずれは気にならない。
  • 手ブレ補正は望遠端で1/40秒では、1/640秒でVR無しで撮影した結果と同様だった。1/20秒では半分の画像が使用可能なシャープさで、1/10秒では非常に不安定な結果だった。私はこの結果を4段分の効果と評価する。これはニコンの公称値の5.5段分よりも少し低いがそれでも十分な効果だ。

  • 軸上色収差はほとんど見られない。また、フォーカスシフトも見られない。実写でもハイライトや輪郭に色はつかず非常に良い結果だ。
  • 解像力テストではフルサイズ全域で驚くほど均一で、600mmの隅で少しソフトになるだけだ。中央は180mmでは極めてシャープだが、600mm付近ではごくわずかにソフトになる。1.4倍のテレコンを使うと中央とAPS-Cの隅は良好だが、フルサイズの隅は明らかにソフトになる。2倍のテレコン使用時は少しモヤモヤするがシャープネスを強くかけると1200mmでもとても実用的な画像が得られる。
  • 像面湾曲は300mmではゼロで、他の焦点距離でもかなり少ない。

  • 他のレンズとの解像力の比較では、180~200mmではZ 180-600mmとZ100-400mmは似たような結果で、タムロン150-600mm F5-6.3 Di VC G2もそれほど後れを取っていない。
  • 400mmの比較では、Z 400mm f/4.5 VR SはZ180-600mmと非常に良く似た結果だが、フルサイズの隅はZ180-600mmがわずかにソフトだ。Z100-400mmはZ180-600mmよりも明らかにソフトで、タムロン150-600mm G2は4本の中で最も甘い。
  • 600mmの比較(Z400mm f/4.5 VR SとZ100-400mmは1.4倍のテレコン使用)では、Z400mm f/4.5はソフトで、Z100-400mmは更にソフトになり、Z180-600mmの方がシャープだ。タムロン150-600mm G2はZ100-400mmと並んで最もソフトだ。しかし、公平を期すために言っておくと、どのレンズも560mm/600mmで完全に実用になる結果だ。
  • 全体としてZ180-600mmは、S-LineのZ100-400mmやZ400mm f/4.5 VR Sと比較しても素晴らしい性能だった。

  • 遠景の実写テストではラボテスト同様に非常に優れた性能で、特に600mmとテレコン使用時の840mmは特筆すべき良好なパフォーマンスだ。タムロン150-600mm G2との比較でタムロンが同等なのは広角端だけで、それ以外の焦点距離ではニコンがよりシャープだ。
  • 周辺光量落ちは、180mmでは開放でもごくわずかだが、600mmでは少し目立つようになる。
  • 歪曲は未補正では180mmでも600mmでも糸巻き型でかなり目立つが、Adobeのレンズプロファイルで上手く補正できる。
  • 夜景のテストでは開放でもコマ収差はほとんど見られない。
  • 玉ボケはF8までは完全な円形で、ボケの内部は滑らかだ。玉ボケに年輪ボケは見られず、若干輪郭がつくだけで色収差も見られない。サンプル画像では、二線ボケがほとんど見られず後ボケも滑らかに感じる。
  • 接写では中央は開放からシャープだが、フルサイズの隅はF11に絞っても甘いままだ。これは600mmでも同様で、このレンズは平面的な被写体の接写が得意ではないが、600mmでF11まで絞れば実用的な結果が得られる。

  • 結論:Z180-600mmはズーム全域で非常にシャープで一部のS-Lineのズームや単焦点レンズに匹敵する性能だ。色収差やコマ収差、フォーカスブリージング、歪曲は非常によく抑えられている。1.4倍のテレコンとの連携も優れている。AFは速く信頼性が高い。比較的軽量で全ての機能を搭載しており、価格は手頃でコストパフォーマンスは抜群だ。大いに推奨する。
  • 良い点:600mmのズームとしては比較的小型軽量、画面全域で非常に優れた解像力とコントラスト、1.4倍テレコン使用時の良好な画質、効果的な手ブレ補正(公称値よりは少し低いが)、フォーカスブリージングが非常に少ない、速く信頼性の高いAF、素敵なボケ味、軸上色収差やパープルフリンジがほとんど見られない、レンズプロファイルを適用すれば周辺光量落ちや歪曲が見られない、手頃な価格でコストパフォーマンスが非常に優れている。
  • 悪い点:接写時の周辺部の性能がもっと良くなって欲しい、パーフォーカルではない(ズーミングでピントが移動する)、三脚座がアルカスイス対応ではない。

 

Z180-600mmはDigitalCameraWorldのレビューでも絶賛されていましたが、今回のCamera Labsのレビューでも「S-Lineのレンズに匹敵する」「コストパフォーマンス抜群」という極めて高い評価となっていますね。

このレンズは解像力が優れているだけでなく、色収差やコマ収差も良く補正され、AFも速く正確で、フォーカスブリージングも目立たず、テレコン使用時の画質低下も少ないと、比較的安価なレンズにもかかわらず全方位的に優秀なレンズですね。