シグマの一眼レフ用レンズの需要は依然として非常に大きい

phototrendに、シグマ・フランスのマネージングディレクターのインタビューが掲載されています。

Interview Sigma au Salon de la Photo 2025

  • (300-600mm F4 と 200mm F2 で、プロのスポーツ写真家の心を掴もうとしているのか?)
    社長の山木和人は、シグマが顧客に「選ばれる」ブランドでありたいと考えている。そのためには、プロフェッショナル用を含むあらゆる分野をカバーする光学機器が必要だ。

  • (一眼レフからミラーレスへの移行はプロ用レンズの設計に新たな可能性をもたらしたのか?)
    このタイプのレンズ(望遠レンズ)では、ミラーレス化による変化はあまりない。モーター技術の進化は見られたが、それはミラーレス化によるものではない。しかし、特に広角レンズにおいては、その効果は顕著で、コンパクトさと画像の隅々までの性能向上ができる。

  • (最も好評または最も期待されている製品は?)
    300-600mm F4 DG OS Sportsは過去6ヶ月間、世界的な品不足に直面しており、少しずつ納品しているが、まだ多くのバックオーダーを抱えている。BFも同様で、常にバックオーダーを抱えている。また、17-40mm F1.8 DC Artは、特に富士フイルムXマウントで驚異的な成功を収めており、供給に苦戦している。135mm F1.4 DG Artも同様だ。

  • (35mm F1.2 DG II Artはどのようにして軽量化したのか?)
    カメラ本体内の自動補正のアルゴリズムは大幅に改善されている。第2世代モデルでは、これらの進歩を更に活用して光学性能を最適化し、特に歪曲や周辺光量を補正するレンズの数を減らすことができた。これはミラーレスカメラの強みであり、よりコンパクトで軽量な光学系を設計することが可能になった。また、レンズの技術も大きく進歩しており、特に両面非球面レンズの登場が大きい。これにモールドレンズの技術の進歩を併せると、3枚のレンズを1枚に置き換えることも可能な場合もあり、大幅に小型軽量化できた。

  • (フランス市場のシェアは?)
    具体的な数字は公表できないが、シグマの市場シェアは過去7年間着実に成長している。

  • (SIGMA BFの売れ行きは満足いくものか?)
    BFのおかげでカメラボディの市場シェアも拡大している。このカメラはこれまでと異なる顧客層にアプローチしている。需要の高まりにより、生産能力が追いついていない状況だ。

  • (中国メーカーの存在感がますます高まっている?)
    新しい中国メーカーを貶めるつもりはないが、彼らは急速に成長しているとはいえ、彼らが我々のバックミラーに映るようになるまでには、まだ少し時間があると考えている。過信はしたくないが、恐れているわけでもない。

  • (一眼レフ用レンズの要望は?)
    一眼レフレンズに関しては、需要だけでなく、部品の入手性の問題もある。モーター、センサー、その他の部品は、下請け業者によって製造されなくなる可能性があるため、市場が縮小したためだけでなく、部品不足のために生産を停止することになる。例えば、2025年上半期には、2024年同期よりも150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporaryが150本以上多く販売されたが、6月末には在庫がなくなった。つまり、10年前の製品である一眼レフ用レンズに対する需要が依然として非常に大きいことがわかる。また、当社の一眼レフレンズの中には売上が伸びているものもある。これは、カメラメーカーが24-70mm、150-600mm、105mmマクロなどのレンズをカタログから削除したために、シグマに乗り換えているという事実によるものだ。残念ながら、当社の一眼レフ用レンズももうすぐ終わりを迎えるだろう。

  • (シグマのZマウント用のレンズはなぜこれほど少ないのか?)
    Zマウントの要望は繰り返し寄せられているが、残念ながら、私はこの質問に対する答を持っていない。

  • (シグマには現在3本のRF-Sのズームレンズがあるが、今後のRFマウントレンズの展望は?)
    顧客からの(RFマウントレンズへの)フォードバックは非常に好評で、販売の数字も目を見張るものがある。我々の目標は、APS-Cカメラのユーザーに、フルサイズと同等の高品質なレンズを提供することだ。当社の 17-40mm F1.8 は、フルサイズの24-70mm F2.8 と同等かそれ以上の性能を発揮する。

  • (2023年にシグマはm4/3レンズの開発を中止すると述べていたが、m4/3にはまだ未来があると思うか?)
    当社はm4/3用のレンズを製造していないため、経営陣はこのフォーマットの大きな成長は期待していないと思う。しかし、野生動物写真のフェスティバルに何度か参加した経験から、m4/3には依然として一定の利点があることを実感している。

  

ミラーレス用レンズがモデルチェンジで大幅に小型軽量化できた理由は、主に電子補正と非球面レンズ技術の進化によるものとのことで、ボディ側のソフトの進化によるところも大きいようです。

また、一眼レフ用レンズに関しては需要は本当に少ないと述べていたタムロンとは対照的にかなり売れているようで、この違いがどこから来るのか興味深いところです。

あと、RFマウントレンズに関しては非常によく売れているようで、今後もAPS-CレンズについてはRFマウントの製品化が期待できそうですね。一方でZマウントレンズが少ない件に関しては、ノーコメントで、なにか大人の事情があるのでしょうか。